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- フィリピンでの青年海外協力隊活動記録(2015-2017) -

任地での活動報告(バランガイ視察)と今思うこと

気づいたら、12月もあと数日。

今年の振り返りをブログに残しておこうと思う。

 

≪お仕事編≫

8月末に配属先に赴任してから11月末までの3か月間は、

防災計画の骨子を作成しながら、

法律や役場内の総合計画を読んだり、イベントや防災訓練に参加したりして、

フィリピンの防災の考え方や、町の基本情報を知ることに集中。

そして、12月に入ってから、念願のバランガイ視察に出るようになった。

 

◆バランガイ視察

同僚やカウンターパートに同行いただいて、

川を車で走ったり、片道1時間歩いたりしながら、バランガイにたどり着き、

1時間程度、バランガイキャプテンやバランガイ議員さんにお話を伺ってから、

バランガイ内を見て回った。

 

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(道がないなら、川をゆく)

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(無言で先ゆく同僚たち)

 

バランガイキャプテンへの質問内容は、大きく分けると5つ。

①台風ヨランダの被災状況

②バランガイのDRRMOスタッフ

③バランガイで実施されている災害対策や災害対応

④過去の災害経験

⑤町役場への要望について

  

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(インタビュー準備)

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(インタビュー中、現地語の質問票を確認)

 

また、バランガイ内では、

①台風ヨランダの被災家屋の確認

②避難所や避難路の確認

③川沿いの確認  等を行った。

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(地域を見て歩く様子)

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(台風ヨランダ時に被災された家屋)

 

その結果、私の任地における台風ヨランダの影響は、

・河川氾濫や土砂災害による農作物の被害

・強風による家屋倒壊(半壊は、特に屋根被害) であることが分かった。

加えて、

・町中心部からバランガイへの緊急路のコンディションの悪さ

・雨風の勢いが強くなってからの避難(事前避難なし)

・避難所ではなく、近隣の親戚宅や友人宅への避難

・脆弱な情報伝達環境

・備蓄はなく、救援物資も1か月後に届く

被災家屋は、屋根をココナッツの葉からトタンに変えている

等々が見えてきた。

 

また、バランガイが非常に自立していることもわかった。

話を聞いた限りでは、台風接近時や通過後の行動が明確になっていて、

町役場への要望がそんなに挙がらない点は、すばらしいと思った。

 

12月は、台風NONAの接近に伴いカウンターパートが大忙しだったことや、

クリスマスパーティなどもあり、予定通りに視察ができなかったけれど、

少ないながらも、現地へ足を運んだことで見えてきたことがたくさんあり、

一緒に来てくれた配属先の同僚やカウンターパートには、本当に感謝。

 

また、防災事業を通して自分たちが災害からまもりたいと考えている方々が

どんな生活をされているのかを見ることができた点も、大きかった。

 

この現地視察の結果を、今後の活動に活かせるよう、

もっと自分の意見を発言したいし、積極的に提案したい。

 

特に来年は、ワークショップを通じた防災計画作成の一大イベントが待っている。

足りない防災知識も、スピードを上げて補っていこうっと。

 

 

≪生活編≫

フィリピンで生活をしはじめて、いろんな文化に触れる機会をいただいた。

・毎週月曜日の朝会(国歌、町歌を歌う)

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・名前が2つも3つもある(個数は自由)のに、あだ名で呼びあうこと

・朝食/昼食/夕食の間に2回あるミリエンダ(間食)

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・とっても安いヘアカットとネイル

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・急に決まる国民の祝日

・11月1日のAll Saints' Day (日本のお盆)

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・12月の本気なクリスマスパーティ

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・各バランガイで実施されるフェスタ(祭)でのご馳走たち

・お金もちの子どもや大人の誕生日パーティ

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・1歳児のキリスト教の洗礼式

・教会でのお葬式

・なんでも有るもので作る

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・喉に魚の骨がささったら、マンゴーで流し込む

・特大バナナの存在

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などなど。

 

そして、任地をもっと知るために企画した「滝を見に行くツアー」では、

道なき道を進み、たどり着いた滝には本当に感動したし、

何より、こんなところまで連れてきてくれた職場の先輩や

大好きな茹でポテトを持ってきてくれていたホームスティ家族には心から感謝。

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(ポテトと滝。)

 

踊ることや歌うことが大好きで、

家族や親せきをとことん大切にするフィリピンの国民性も、とても好き。

 

尊敬するNGOの代表からの

「共に活動したいと考えている方と同じ言語で、コミュニケーションをとること」

というアドバイスを受けて、任地では現地語で話すようにしている。

 

まだまだ、職場での会話はついていけないし、

生活にかかわる簡単な会話しかできないけれど、

ゆくゆくは、現地語で防災についてのお話を伺えるようになれたら。

JICAさんのサポートにより、現地語のレッスンもスタートしたので、

今後も、たくさん使って習得していきたい。

 

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(任地の自然。だいすき。)

 

 

≪ボランティアとして、今思うこと≫

色々思うことはあるけれど、今日は、完結に2つ。

その①: 「仕様書」がない難しさ

「もの」としての成果が必要ではない分、

活動の成果を自分で決める必要があること。

 

その②: 時間の使い方

語学力(英語、現地語)不足や、防災知識の不足を

仕事以外の時間で、自分の考える方法で日々補う必要があること。

一方で、コミュニティになじむ努力も同時に必要となるから、

なんでもない会話や日々のイベントに参加することも大切。

そのバランスのむずかしさ。

 

日本の建設コンサルで仕事をしていた時は、

仕様書にある成果品を納期内に納めることに重点を置いて、

ひたすら仕事をこなす日々で、こなしてさえいれば良かった。

こなすことで身に着く知識やスキルがあったし、経験や実績がついてきた。

でも、ここでは自分をコントロールするものは自分だけ。

防災事業や地域の課題について、自分の出した答えが妥当か、

助言やお墨付き(問題ないという判断)をくれる先輩技術者もいない。

そこに難しさがある。

きっと、だからこそ見えるものも、あると思うのだけど。

 

 

ここでの生活は、残り1年3か月。

年明けからは、インプットからアウトプットへ、フェーズを変えること。

日々の努力を怠らないこと。

任地の方々との関わりを楽しむこと。

謙虚さを、忘れないこと。

 

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(ツリーを日本風の正月飾りへリメイク)

 

来年も、飛躍の一年にできますように。

少しでも、世界中に笑顔が増えますように。